

火山が吹き上げ、岩が風化し、堆積と圧縮を繰り返す。そうして生まれた粘土鉱物は、大地が途方もない時間を蓄えた記憶の層である。
その物質を人は掬(すく)い、こね、カタチを与え、再び水を受けとめてきた。水を掬うことは、世界を一度身体に取り込み、再び差し出すこと。
古代のうつわは、生活の道具であると同時に、地球の記憶を呼び起こす儀式的な媒体だった。指の跡やひび割れには、人と物質が同じ呼吸をしていた時間が宿っている。
うつわとは、地球の記憶を人が触覚で翻訳したカタチである。





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A_01の作品近くにあるQRコードを読み込んでください。火山が吐き出した灰は長い時間をかけて大地に積もり、やがて土へ変わります。アンディソルは火の記憶を抱えたまま冷めていく若い土。軽く触れると形を変え、内部にはかつて空を漂った微粒子の名残が眠ります。やきものとなるとき、この土は再び火に出会い、過去と現在を重ねて器へと姿を変えます。
火は、地球の内部で絶えず繰り返される変化の縮図である。炎の中で土は変わり、柔らかなものが硬く、光を返す物質へと転じる。焼成とは、固定ではなく変化そのものを刻む行為である。
釉薬の流れや酸化と還元の揺らぎは、偶然ではなく、火と鉱物と空気の対話の痕跡である。うつわの表面に走るひびや泡は、地球の内部でいまも続く変成の記号であり、物質の言語そのものだ。
人はその一部を「焼く」ことで読む。うつわは、地球の炎が残した一篇の書である。
炎の中で鉱物は融け、再び結晶しながら光を宿す。鉄の黄、赤、褐色や黒、銅の緑と赤、コバルトの様々な青。これらの色は、地球が自ら描く抽象画であり、光が思考に触れる瞬間の記録でもある。
温度と酸素、時間のわずかな差異が、青や緑、赤、黒といった無限の色を生み出す。それは人間の意図を超えた、物質の思考の痕跡である。
火の化学反応は、地球内部の鉱物変成と同じ原理に従う。つまり、うつわに現れる色彩は、地球が自らを観測する行為であり、光の記憶が物質化した詩である。
現代ではこのプロセスが、ファインセラミックや半導体として進化している。電子が情報を運び、光が記憶を変換する。鉱物は思考し、世界は記録し続けている。





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作品:C_01 近くにあるQRコードを読み込んでください。
このスポットガイドでは、結晶を「光を構造化した記憶の装置」として捉えお伝えします。結晶は地中で時間を束ね、光の通り道を内部に刻みます。透明、不透明、色の違いは温度や圧力、微細な元素差が生んだ「固体の思考」。その輝きは地球が磨いた記憶の断片です。結晶に触れると、光が物質へ変わる静かな物語が立ち上がります。
うつわの中心にあるのは、物質ではなく空である。空(うつろ)は、欠如ではなく、関係が生まれるための場である。
カタチをつくることは、空を定義する行為であり、その瞬間、空は世界を受け容れる構造となる。それぞれの時代や地域で育まれた美学を映し、日本では、静けさや余白の中に宇宙を見いだし、やきものの釉や土の呼吸にそれを託してきた。不完全な表面に宿るひびやにじみは、触れ合いの痕跡であり、世界が形を変える瞬間の証拠でもある。現代の作家たちは、光や音、データや時間を媒介にして、新たな「うつわ」をつくり続けている。
物質と精神が交わる領域は、いまも拡張している。うつわは、世界そのものの呼吸を包む装置なのかもしれない。

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